ホットメルト接着剤の粘度とは?

2018.7.31

ホットメルトとは

ホットメルトとは、その言葉のとおりホット(Hot;温める)メルト(Melt;融かす)で、温めて融かして接着する接着剤のことをいいます。
ホットメルトの特徴として「環境にやさしい」「冷えて固化すると接着されるので接着強度が発現するまでの時間が短く、作業効率が良い」などがあげられます。
また、もう一つの大きな特徴として、粘度が高いため浸透しやすい布や不織布の接着も可能です。

まずはじめに…粘度っていったい何?

粘度は、物質の粘り度合いを表します。粘度が高い=粘り度合いが強い、粘度が低い=粘り度合いが弱いになります。SI単位系ではPa・s(パスカル秒)が使われます。
一般的に、低粘度は0.001~5、中粘度は5~100、高粘度は100~(単位はすべてPa・s)といわれることが多いようです。

身近な例をあげると
・低粘度:水(0.001)、シャンプー(2~3)、とんかつソース(2~5)
 ・中粘度:ドレッシング(5~10)、マヨネーズ(15~20)、水あめ(20~25)、
 ・高粘度:ハンドクリーム(100)、マスタード(150)
があります。

粘度は温度によっても変わります。液体の場合、温度が高くなると粘度は低くなり、温度が低くなると粘度が高くなります。

接着剤と粘度について

粘度が低い接着剤として代表的なものに瞬間接着剤があります。
ホームセンターや文房具屋で市販されている「アロンアルファ」や工業用接着剤である「ロックタイト」などが代表的なものです。
これらは狭い隙間に後から入れても浸透して接着することができます。そのためネジの緩み止めなど、後から流し込む用途でも使われます。
サラサラになるため凸凹が大きかったりすると接着面積が狭くなり、強度不良になることがあります。

また、布など浸透しやすい素材に対しては接着剤を塗布すると浸透してしまうので表面に残らず、接着することができません。

粘度が高い接着剤としては、糊(のり)や工業用接着剤のエポキシ系樹脂でよく使われるアラルダイトや弾性接着剤(EP001など)があります。

粘度が高いため、凸凹面でも凹凸部を接着剤が埋めてくれるので接着強度を確保することができます。また、浸透しやすい素材に対しても表面に半固形の形で残るので、接着をすることができます。
ホットメルトはこの粘度が高い接着剤に分類されます。

ホットメルトの粘度測定方法

ホットメルトの溶融粘度試験方法はJISによって定められています(JIS K6862)。
JISでは、試験に使う粘度計として「ブルックフィールド形単一円筒回転粘度計および二重円筒回転粘度計を用いて、試験温度180℃での粘度を測定する」と記載されています。
そのため、ホットメルトのテクニカルシートにある溶融粘度は180℃という言葉がよく出てきます。

ホットメルトの種類と粘度

ホットメルトには様々な種類があります。ベースとなる素材によって粘度も異なります。
一般的には、1~10Pa・sの低粘度のものが多く、40Pa・sのような中粘度に属するものもあります。
浸透しやすい布や不織布用は粘度が高いかというとそれほどでもありません。

一般的に布の中にしみこんでいく瞬間接着剤と呼ばれるサラサラな接着剤は粘度が0.004Pa・sなので、それに比べたらどのホットメルトはどれも同じような粘度と言えます。
どのホットメルトを使っても布や不織布の中に浸透していくことはありません。

ホットメルトの選定では、粘度というよりもベースとなる素材の特徴を生かす選定を行うことが多いため、たとえば、布用の方がプラスチック用より粘度が高いなんてことは当たり前のようにあります。

粘度が高いと貼り付けの際、おさえる力も強くなるので注意が必要ですが、それ以外に関しては、あまり意識する必要はなさそうです。

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