プラスチックと充填剤(フィラー)とは?

2019.3.14

プラスチック材料はその成形性や軽いという特徴から様々な分野で活用されています。
しかし、自然界にあるプラスチックだけでは、工業界からの要求に応えることが難しく、いわゆる「スーパーエンプラ」と呼ばれるような、通常のプラスチック材料に特定の材料を混ぜ込むことで性能を高めることがおこなわれています。

このプラスチック材料に混ぜ込む材料の一つに「充填剤(フィラー)」があります。
プラスチックは充填剤以外にも、熱変形や紫外線劣化を防ぐ安定剤や温度特性を改善させるなどの機能を持つ可塑剤などをまぜて製作します。

では様々な充填剤をまぜて大量にまぜれば、びっくりするようなプラスチックができるのでしょうか?
答えは「ノー」です。

プラスチックはプラスチック自身が結合しているので、充填剤が多くなりすぎるとプラスチックを形成できなくなってしまいます。
例えば、強度アップのための充填剤が多すぎるとプラスチックの結合が弱くなり、もろい(壊れやすい)状態になってしまいます。充填剤を使うときにはその種類だけでなく、量にも注意が必要です。

また、単にプラスチックの性能を高めるだけでなく加工性を改善するなど、生産性向上にも貢献します。

充填剤の形状

充填剤は大きく分けて3つの形状を持っています。

・球状

均等にまんべんなく充填したいときに使用されます。
異方性ができにくく、応力集中などの偏在も起きにくい、熱膨張したときもひずみが出にくいことが特徴です。

・針状、繊維状

機械的強度を向上させる際に使用されます。
プラスチック以外でもゴムの補強や耐熱性の向上に効果がでやすいのが特徴です。異方性ができてしまうので、成形安定性を損なうリスクを伴います。繊維状の充填剤は制振効果も発揮します。

・板状

機械的強度や改質のために使用されます。
また、導電効率や制振、ガスなどの遮蔽効果、表面平滑性の改善などで使用されます。

充填剤のサイズ

充填剤は形状だけでなくサイズも影響します。
その大きさから以下の3つの種類に分けることができます。

・ナノフィラー:100nm~10nm前後(比表面積が大きく、機能発現しやすいが扱いにくい)
・ミクロフィラー:10μm~100nm前後(粉体として制御が容易、分散させやすい)
・マクロフィラー:100μm~10μm前後(最も汎用的、粒子間相互作用がないため表面が安定)

充填剤の種類と機能

充填剤には様々な種類があります。その種類と特徴(機能)をご紹介します。
中にはミクロサイズやナノサイズまで、細かい充填剤も存在します。

樹脂材料に興味がある方は、様々な製品の樹脂材料の裏側をみると材料と充填剤が掲載されていますから、そのプラスチックの材料が何で、充填剤として何が使われているか知ることができます(特に100g以上の樹脂材料は、リサイクルの問題で材料+充填剤が明記されているケースが多いようです)。

フィラーの主な用途

用途・機能の例使われるフィラーの例
導電性カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属粉、金属繊維、金属箔
強度ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム
磁性各種磁性材料、各種フェライト系、磁性酸化鉄、
熱伝導性Al2O3(アルミナ)、AlN、BN、BeO
制振性マイカ、黒鉛、炭素繊維、フェライト
遮音性鉄粉、鉛粉、硫酸バリウム
摺動性黒鉛、六方晶BN、硫化モリブデン、テフロン粉、タルク
断熱性、軽量性ガラスバルーン、シラスバルーンなどのバルーン系
光反射、光散乱酸化チタン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、アルミ粉、マイカ
難燃剤、難燃化酸化アンチモン、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛
紫外線防護酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄
吸水材吸水用の高分子ゲル、酸化カルシウム、酸化マグネシウム

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